パソコン作業が作る腰痛-理論とその治療法-

<かどや式腰痛治療の理論>

【椅子から立ち上がれず、腰がくの字】

62歳の大下さんはおひとりで旅行会社をやっておられます。
パソコンの前に一日中座っている仕事です。
この2,3日仕事に忙殺されていたら、夜になって腰が痛くなり、
椅子から立ち上がれなくなってしまいました。
ようやく立っても、腰がくの字に曲がってしまった状態です。

【原因はねじれた体勢でのパソコン作業】

聞くと、パソコンは正面にはなく、体を右に向けてパソコンをやっているとのことでした。
このねじれた体勢で、しかも亀首猫背の姿勢で一日パソコンをやっていれば、
誰でも首と腰を痛めてしまいます。

【パソコン作業による腰痛の8割は大腰筋を痛める】

パソコン作業による腰痛の8割ほどは、大腰筋を痛めます。
人間は腰と首とで姿勢を作っていますから、腰を痛めれば首も痛めます。

つまり、腰や首を支えるインナーマッスル(深層筋)が、棒状に硬くなってしまうのです。
インナーマッスルは骨を支える筋肉です。
インナーマッスルが正しく働いて、正常に姿勢を保つことができます。

【骨とインナーマッスルはテントのポールとロープの関係】

骨がテントのポールだとすると、ポールを支えているロープがインナーマッスルです。
ロープは弾力があるからポールを支えることができるのですが、
ロープが棒だったらどうでしょうか。ポールを正しく支えられません。
一つのロープが棒になったら、ポールは傾いてしまいます。
ポールを支えるロープ全部が棒だったら、ポールは倒れてしまいます。

【ポールが腰の骨、ロープが大腰筋】

腰痛にこのことを当てはめてみると、腰椎(腰の骨)と腰盤がポール、
腰の骨を支えているロープが大腰筋です。

悪い姿勢で長時間座ってパソコン作業をしていると、大腰筋が凝ってきます。

【大腰筋が凝ると腰が伸びない、くの字になる】

大腰筋が凝ると、腰をまっすぐに伸ばせなくなり、くの字になってしまうのです。
そして凝っているところが硬くなり、麻痺してきます。

【長時間続くとギックリ腰に】

それが長時間続くと、表面の動かす筋肉でありアウターマッスル(表層筋)が働かなくなり、
ギックリ腰となり、腰を動かすこともできなくなってしまうのです。

【慢性化すると坐骨神経痛】

腰を支える筋肉である大腰筋が硬くなり、麻痺した状態が何か月も続いてくると、
そのコリが坐骨神経を圧迫して、坐骨神経痛となり、下肢がしびれたり、
下肢の筋肉がつっぱったりするわけです。

【首にもコリが出る】

そして大事なのは、腰とバランスを取っている首にもコリが出てくることです。

大下さんの場合は、坐骨神経痛まではなっておらず、ギックリ腰の状態でした。

 

<かどや式腰痛治療の実際>

【百会への穿刺】

大腰筋を痛めた場合の腰椎の鍼治療は、まず百会への穿刺を行います。
大下さんの場合も、まず仰向けの状態で百会の穿刺を行いました。

【百会は自律神経のバランスをとり、腰痛を軽くする】

百会は自律神経のバランスをとるツボです。
また、百会は腰痛を軽くするツボでもあります。
百会の穿刺によって、パソコン作業で緊張している神経(交感神経緊張状態)の緊張をほぐします。
すると全身の筋緊張も緩むようです。

最初、大下さんに仰向けの状態で腰を上げてもらうと、上げようとすると腰が痛くて
あげることができませんでした。
しかし、百会への穿刺を行った後には、少し上げられるようになりました。
腰を動かすアウターマッスル(表層筋)の緊張が少し取れてきたようです。

【背中の凝り具合を見る】

次にうつ伏せになってもらい、背中全体の凝り具合を診ます。
大下さんの場合、大椎(だいつい、胸椎1番のきわ)と隔兪(かくゆ、胸椎7番のきわ)にコリがあり、
大椎と隔兪

腰には腰の両側にある志室(ししつ、腰椎2番外側)のラインにコリがありました。
志室

それに、志室と相関する首の筋肉である、頚椎3番の2側にもコリがありました。
、頚椎3番の2側

【大椎と隔兪に溶かすハリ】

まず、大椎と隔兪に出ているコリを寸3・1番の鍼で「溶かすハリ」の鍼法でコリを溶かしました。

【首に溶かすハリ】

次に横向きになってもらい、頚椎3番の外側のコリを寸3・1番の鍼で「溶かすハリ」の鍼法で、
コリを溶かしました。

【志室の麻痺をとるハリ】

そして最後に志室に出ているコリを2寸・3番の鍼で「麻痺をとるハリ」の鍼法で、
8センチほど奥にある、麻痺して硬くなっているコリの中心に針先を到達させて
そのコリの麻痺をとりました。

【大腰筋が棒からゴムに回復】

この志室の奥の部位こそ、大腰筋が凝って硬くなって麻痺しているところです。
その大腰筋の麻痺をとることで、棒状になっていた大腰筋がゴム状に戻り、
正常なインナーマッスルに回復します。

このことで、くの字になっていた腰が真っすぐに戻り、腰の痛みも取れました。

これがパソコン作業によって作られる腰痛の、一般的なかどや式治療法です。

(※鍼法やツボ名、詳しいツボの部位は、プロの治療家用に書きましたので、
一般の方にはわかりにくいかもしれません。)

【90分で治療完了】

始まってから終わるまで、約90分間の治療でした。
大下さんはベッドから軽く起き上がり、
「腰が楽になりました!ああ、楽になった!軽くなりました!ありがとうございます。」
とおっしゃってくださいました。

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