なおし家鍼灸院
今回は、院長が20代の頃から敬愛している香西仁さんとの対談の後編です。香西さんは現在81才。会社社長を退かれてからも、利他の精神と多趣味な遊び心を持ち続けられる香西さん。奥様との仲睦まじい夫婦道もご健在。秋晴れの清々しい休日、練馬区のご自宅に伺いました。
引き続きお楽しみください。
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困ったときの角谷さんだのみ?!
香西さん「そういったわがままが病気や不調の大元だと理解して、日々のルーティンを大切にする。そして、どうしてもここが調子悪いとなった時は角谷さんだのみ。それがキーワードだね。”困ったときの角谷さんだのみ”」
すがこ「なるほど(笑)香西さんは、ルーティーンをしっかりされてるから、院長に頼らなくても大丈夫ですね」
院長「いつもお元気な香西さんですが、赤ひげ堂時代には、お仕事のがんばりすぎで腰や背中の痛みなどの施術をさせてもらいました。なおし家になってからは、20年くらい前かな、足首を紛砕骨折され、大手術をされた後に施術させてもらいましたね」
香西さん「そうそう、節目節目に“角谷さんだのみ”でお世話になってるから(笑)」
すがこ「骨折の後って、鍼でどんな施術をするんですか?」
院長「骨折すると靭帯も損傷してしまって硬くなるので、早く回復するように足首の靭帯(腱)に鍼をして、靭帯を正常な状態に戻すようにしました」
加代さん「それから、1、2年前は咳が止まらなくなってなおし家さんに行ったこともあったわね」
院長「そうですね。咳っていろんな原因があるんですけれど、香西さんの場合、風邪が治りきらず肺に炎症が残っていた事が原因だと思って最初は施術していたんです。でも実は、心臓からくる咳だとわかり、腕や背中にある心臓のツボに鍼をしましたね」
香西さん「あれは実はお酒をやめてから果物の取りすぎで果糖が多くなってしまってね。それで膀胱経や腎経に負担がかかって、それに関係する心経(心臓の経絡)の症状として咳が出たんだね」
すがこ「さすが、香西さん、経絡や東洋医学にもお詳しいですね!そういえば、院長が咳をしている時は、必ず甘いものを食べた翌日ですもん(笑)」
院長「いや~、まぁ、厳密にいうと、私の場合は甘いもので胃をやられて痰を出すための咳なんですよ(汗)気をつけます(笑)」
院長のルーティーン
加代さん「そうは言っても院長先生はいつもお元気ですよね。何か特別なことをされてるの?」
院長「私はこの仕事を始めてから約40年、毎日気功だけは欠かさないです。太陽の光を浴びながらとか、自宅のある伊豆では海とか山の自然の中でやると最高です!」
すがこ「それが院長のルーティーンね。気功をすると、丹田に気が入ってお腹がぽっこり膨れるもんね(笑)」
ファッション、化粧より大事なもの?!
香西さん「TACの総会のパーティではね、みんな綺麗に着飾って来るんだけど、ファッションや化粧より大事なものがあるんですね。TACの講演会なんかでよく話すんだけれど」
すがこ「ほー、それは何です?」
香西さん「まず大事なのは、“筋肉と骨”。そして、それより大事なのは、“内臓と脳”。内臓はずっと働いてくれて、脳は指令を出しているからね。そして一番最後に残るのは、“丹田の気”。これはなかなかできない。5年や10年じゃできやしない」
院長「なるほど、そうですね」
香西さん「いろんな考えがあるけど、死ぬっていうのは、丹田の気が消えていくこと。丹田の気が無い者は、ヘラヘラしていい加減な生き方して社会のことや国のこと、他の国のことも世界のことも考えない。丹田の気はどうやってできるか、っていうと宇宙から気がきている。人間は海の中で生命ができたんだけど、海からも気がくる。海の気と宇宙の気と両方あるんだけれど、それをうまく全身にめぐらせて、ここ(丹田)におさめてあるのが人間の体。これをつくるのが大変だけどひとつの目的ですね。これができるといい方向にいく。これをファッションや化粧ばかり、欲ばかりで動くとほんの一部しか見てない。食べ物も欲ばかりでやってると、やれ、うまいもの、アイスクリーム。饅頭、果物だってことになって、結局角谷さんに駆けこむ」
加代さん「(大笑)おとうさん~」
すがこ「笑ってる人がいます~(笑)」
香西さん「反省しても遅いか笑)」
すがこ「あっ、果物がお好きで食べ過ぎたという(笑)」
香西さん「果物がどうぞ食べてくれっていうから(笑)それと、トレーニングのやり過ぎでガンバリ過ぎるっていうのも不健康のもとですね」
院長「そうですね。年齢に応じたトレーニングが大事ですよね。私はもっと筋肉をつけたいので後でご指導ください(笑)」
健康長寿につながるセルフケア
香西さん「結局、自分で健康をつくっておいて、時々、困った時の角谷さんだのみで来てくれる患者さんが長続きするんじゃないかな」
院長「そうですね。患者さんも症状が落ち着くとそれで施術はいったん終了ですが、メンテナンスとして定期的に通われる方も結構いらっしゃいますね」
香西さん「鍼灸院で手術はできないけれど、そこまでひどくならないように、ライフスタイルとして健康のためのアドバイスをするという大事な役割もありますね」
香西さん「TACのセミナーでもやるんだけど、自分の内臓を絵に描いてみて、というとね、描けないんだなあ。まず自分の内臓をちゃんと知ることが、自分の内臓に対する礼儀かもしれない。それと、食事の時一口何回噛んでる?ということもよく聞きますね。そういう健康に対する大元を教えてあげることは大事だと、やっと解ってきましたね」
院長「確かにそうですね。なおし家のセルフケアでも、自分でお腹を揉むことや、一口20回は噛んで食事するということをお伝えしてます」
加代さん「それは患者にとってもありがたいですよ」
院長「ええ。セルフケアを実践されている方は、内臓、腸の働きが活性化して血流が良くなります。だから施術の効果も早いですね」
すがこ「今日はたくさんお話を伺って、いつまでもお若い香西さんの心身の健康の秘訣がわかったような気がします」
院長「念願のご自宅にお邪魔させていただき、香西さん特製、お孫さん達も大好きな“ちゃんじーラーメン(じーちゃんの逆)”もご馳走になりました。美味しかった~!香西さんの外国旅行や海外の方達と今尚続く交流のこと、趣味のジャズやクラッシック、水彩画のお話も伺い大満足です。これからも奥様と仲良く、物言う隠居としてご活躍ください。ありがとうございました」
2021年9月18日香西さんの練馬区のご自宅にて