鍼で筋肉・腱のマヒを取る方法

患部に鍼

鍼は、患者様のつらいところに、直接、届くことができる素晴らしい器具です。しかし、この治療法を分からない・知らない方が多いのが現実。鍼治療を安心して受けていただけるように、できるだけ、わかりやすくお伝えしていきたいと思います。

1.筋肉・腱とは

当院は、腱の鍼治療を得意としています。腰痛や首コリの鍼治療は、腱に対するアプローチと共通点があります。ギックリ腰や慢性の腰痛の場合でも、腰痛を起こしている真の原因は、深さ7~10センチ奥にある、大腰筋という腰を支えている筋のマヒです。

患部に鍼
その麻痺している中心に、2寸(8センチほど)の鍼を入れ、硬くなってマヒしているところをやわらかくしてやると、腰痛が改善します。

筋肉、腱はバネと同じ。
バネはおもりをのせると伸びますが、また元に戻ります。しかし、バネが戻らないほどの重さがかかってしまうと伸びっぱなしになったり、縮みっぱなしになり、バネの働きができなくなります。筋肉・腱が働かなくなると、その場所に異常症状が起こります。

2.表層筋と深層筋(インナーマッスル)

もうひとつ知っておかないといけないのは、筋肉・腱には「1.動かすための筋肉・腱」「2.支えるための筋肉・腱」があるということです。

●動きの筋肉・腱は表面にあります(表層筋)。
●支えるための筋肉・腱は奥にあります(深層筋)。

◆表層筋の異常
表層筋が壊れると、痛みが起き、動きに異常が生じてきます。表層筋は、炎症を起こしやすいのですが、表層にあるので悪い部分がわかりやすく、鍼がしやすい。だからわりに早く改善します。

◆深層筋の異常
深層筋は、3~10センチ奥になるので、傷めた部位が表面からは直接触れにくいし、奥にあるので鍼がはいりにくいのです。それに表層筋に比べて、炎症は起こしにくく、傷めるとマヒするのが特徴です。

◆マヒするとは、専門用語では拘縮といいます。簡単にいえば、筋肉・腱というバネがちぢんで硬くなって元に戻らなくなっている状態です。

●例:腰の筋肉がマヒすると足腰や背中の動きが悪くなります。

深層筋のマヒ

一方、炎症とは、腫れて熱があるような状態。ねんざのケースを想像するとわかりやすいと思います。

炎症
筋肉・腱が損傷する(こわれる)と、そこを治そうとして血液が集まってきます。その状態が腫れ・熱感、痛みという症状であらわれます。

3.深層筋の硬直・マヒについての症状

第1段階 一時的な硬直

表層筋、深層筋・腱も筋肉・腱は、疲れてくると硬くなります。また、使いすぎても使わなすぎても硬くなります(硬直)。

さらに、姿勢が悪いなど、まちがった姿勢で使っていても硬くなります。 内臓が悪くても内臓の異常反応として筋肉・腱は硬くなります。

これがいわゆるコリ。 軽症だと一時的に硬くなるだけで、休憩めば、ひとりでに元の筋肉にもどります。

第2段階 拘縮

しかし、硬直する原因をそのままにしておくと硬直が続き、拘縮とよばれる慢性のコリとなります。

筋肉の中には血液を運ぶ血管や神経が通っています。拘縮の段階では、血管が圧迫されて血液の流れが悪くなる程度で、神経が働かなくなることはありません。

第3段階 深層筋のマヒ

しかし、拘縮が続くと拘縮した筋肉・腱に鍼を刺しても感じないマヒ状態の筋肉・腱になってゆきます。 これが私がマヒと呼んでいる筋肉の状態。

特にマヒは、深層筋・腱・骨膜に起きてきます。 筋肉・腱がマヒすると筋肉・腱の中を通る神経伝達もうまくゆかなくなります。 それで鍼をしても何も感じないようです。

第4段階 表層筋の痛み・炎症・動きの障害

深層筋がマヒする(鍼しても感じない状態)になると、表層筋には痛みや炎症や動きの障害が起きてくるようになります。 さらに、悪くなると、表層筋も働かなくなってしまいます。

その時、五十肩やギックリ腰、坐骨神経痛、ひざ痛などの急性症状がでて、腕や腰、ひざが突然動かないといった症状がでてきます。

本人は突然痛くて動かなくなったように感じるかもしれませんが、実は、このようになるまでには、第1~第2までの準備段階が あり、ゆるやかに悪化する経過をたどってきたわけです。

第5段階 慢性の痛み・可動域障害

そして炎症がおさまり、急性症状がよくなった後は、五十肩や腰痛、坐骨神経痛、ひざ痛が慢性になってゆきます。 慢性になると、常に痛み・重さ・冷え・動きの異常などの症状がつきまとうようになります。 こうして慢性病の症状は悪化していきます。

身体の痛みが慢性化・悪化していくと、パニック障害やうつなどに発展することもあります。

4.鍼は指の代わりであり、筋肉の内視鏡

当院の鍼に対する考え方は、「鍼は指の代わりであり、筋肉の内視鏡」というものです。

指では表面からしか奥が分かりませんが、鍼は指の代わりとして、奥にある悪い箇所を直接触ることが出来ます。角谷式の鍼には、鍼を刺すという発想はありません。

鍼は筋肉、腱の内視鏡。
鍼は観るもの。筋肉の中に直接入れて、内視鏡と同じように針先で筋肉、腱の状態を観ることが出来ます。そして、針先で悪い箇所に直接作用させて、症状を改善させます。

5.鍼でどのようにマヒ(拘縮)部を施術するのか

マヒしている腱は、硬くなっています。そして表面には痛みが現われる場合も多くあります。

腕を動かしてもらうと、痛くてそれ以上動かないところがあります。いわゆるひっかかっている部分。そのひっかかる点、かたくなっている部位、痛い部位がツボです。

マヒしている中心をポイントに鍼をする

深層筋のマヒをとるには、マヒしている場所をみつけて、その部位の中心をさがして、そこを鍼のポイントにして深層筋鍼法を行ないます。

虫めがねの原理

ちょうど虫めがねの焦点を1点にあわせて太陽のエネルギーを集めると、紙が燃えてくるのと同じです。

その部位(面)の中心をさぐって(このやり方は文章では伝わりにくいかもしれませんが)、面を点にして、鍼のツボを決めます。ここでうまくポイントを探らないと、鍼をしてもほとんど変化が起らなかったり、痛みが余計に出てくることがあります。

そのツボに鍼を入れ、鍼先でマヒしている部分まで届けます。そして、鍼先を使ってマヒをとっていきます。マヒしているときは鍼をしても何も感じませんが、マヒがとれていくと、感覚が戻ってきて、鍼のヒビキを感じるようになります。

ヒビキは、マヒ(拘縮)が回復してきたサイン
ヒビキが出てきたら、そのマヒ部は良くなっています。

長年にわたってつくられたマヒは、樹木の年輪のように層をなして硬くなっていますから、一層一層マヒをとっていきます。

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