ここでは、鍼灸師や施術家の方に、深層筋鍼法のイロハをご紹介します。
鍼でしかできない深層筋療法
私は、2008年「かどや式深層筋療法」をつくりました。これは、鍼でしかできない方法です。
骨膜に筋肉・腱が付着
なぜかというと「筋肉・腱は、骨に付着しているから」です。と書いてもわからないので説明してゆきます。
筋肉・腱は、骨に付着しています。その付着しているところは、どうなっているでしょうか。骨の表面には骨膜があります。筋肉・腱が骨に付着していることをより正確にいえば骨膜に筋肉・腱が付着しているのです。
厚さ0.2ミリほどの骨膜には、神経が通っています。骨膜の奥は、いわゆる硬い骨です。
筋肉・腱、骨膜(骨の付着部)からコリ
筋肉・腱は、どのように凝るのでしょうか?
パソコン作業のように指を細かに長時間動かす動作は、表層の筋より深層の筋・腱が凝ることになります。
深層筋・腱のコリは、まず筋肉・腱が骨に付いている付着部のところから凝ってきます。
そのとき筋肉・腱が骨についている一番奥の骨膜も凝ってきます。凝るとしなやかさがなくなり硬くなります。もっとひどくなると、鍼をしても感じなくなります。
骨膜への鍼
まずは、骨の付着部に鍼をしてみて下さい。そのときよく観察して下さい。
付着部に鍼すると骨にあたります。そのとき骨の表面に鍼先があたっても骨にあたったコツコツとした感覚がしないことがあります。
骨に鍼先があたってもひびかないのは?
鍼先が骨にあたればコツコツの感じがなく、ひびきもないのはどうしてでしょうか?
これは、鍼先が骨膜にあたっているからです。骨膜の表面に鍼先があたると、骨は鍼先に感じているけど鍼先に骨にはあたっていません。
骨膜がゆるむとひびきが起こり深層筋もほぐれる
そしてしばらく鍼を骨にあてて抜き刺ししていると骨膜がゆるんで骨そのものに鍼先があたります。するとコツコツした感じがしますし、ひびきも起こります。
そうなると、慢性に凝っていた深層筋もほぐれていきます。
深層筋・腱のマヒ
慢性のコリは、骨に直接鍼すると、ゆるみます。筋の付着部の骨に鍼があたってもひびきがおきなかったら、その筋肉は働いていません。
私は、その状態を「マヒ」していると呼んでいます。
患者様にとっては、マヒしている深層の筋・腱は、奥が重い、ダルイという感じがします。
深層筋・腱がマヒすると表層筋に痛み、炎症
そして深層筋・腱がマヒすると表層の筋には痛みや炎症が現われてきます。
そのときは、痛みや炎症の起きている表層筋・腱に直接鍼をするのではなく、その原因となっている深層の筋・腱のマヒに鍼をするのがコツです。
深層の筋・腱のマヒがとれると、実は表層の痛み、炎症も消えてゆきます。
鍼のすごさ
深層の筋・腱がマヒしている(働いていない)かどうかは、鍼をして、ひびくかどうかでわかります。
ここに、鍼のすごさがあります!!
手技ならば指で表面からしか奥の状態はわかりませんが、鍼は、鍼先で直接奥の状態がわかります。
鍼は筋肉の内視鏡
慣れてくると、鍼がどこにあるのか、筋肉がどういう状態なのか、筋肉がゆるむ感覚などもわかるようになります。
筋肉がゆるんだとき、患者様と同時にそのことを感じることができます。施術部位に変化が起きます。
鍼先で筋肉・腱の奥を視るのです。まさしく「鍼は筋肉・腱の内視鏡」です。
私は、「鍼は内視鏡である」考えています。
内視鏡の先で、ガンやポリープを手術するように、鍼先で筋肉・腱に直接作用させるのです。
学べばだれでもできる
鍼を内視鏡として用いるやり方は、誰でもその方法を学べば、できるようになります。そんなにむずかしい技術ではありません。
鍼は深層筋・腱の状態が正確にわかる唯一の器具
筋肉・腱の奥の状態を直接正確にわかる手段は、鍼しかありません。
シンプルで安価で、安全で、いつでも、どこでも、使える鍼という道具は、ほんとにすばらしいと、いつも感じます。
鍼は究極にシンプル
究極にシンプルですから、材質や太さなどは進化しても今後も鍼の基本的な形がかわることはないでしょう。鍼をつくった先人に感謝がわいてきます。
真の深層筋異常は鍼でしかできない
深層筋の異常は、ほんとは鍼しかわかりません。手技で深層筋を施術している人もいますが、深層筋の深層は、筋肉・腱がついている骨の所です。この部分を正確に診るのは鍼しかありません。
骨に付いている所が生きている(働いている)のか死んでいる(マヒしている)のかは、鍼先を骨にあてることでしかわかりません。
本当の深層筋療法は鍼でしか出来ないのです。